【DTCトリロジー】

南仏マルセイユにて撮影は行われた。
列車を貸し切り、出発地点から目的地点までの小一時間の間、
いくつかの撮影ポイントでカメラが回される。
撮影チャンスは1往復の間のみ。
「あと○○秒で撮影ポイント!」
撮影ポイントが近づくと、カウントを読み上げるスタッフの声が車内で響く。
その度に、全体に緊張感がみなぎる。
しかし、気持ちのいい緊張感だ。
その年フランスでは、猛暑のため、亡くなった人がいると聞いた。
列車の中は照明がたかれ、その猛暑にさらに暑さを増し加えていた。
しかし、列車の窓から見える美しい風景、
過酷なスケジュールで最善をつくそうとひたむきに動くスタッフひとりひとりの姿、
このいいようもない緊張感の中で、すべてが愛おしいという気持ちでいっぱいになり、
暑ささえも吹き飛んでしまうような、喜びで満たされていた。

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